読書と社会科学(内田義彦)
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- 作者: 内田義彦
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1985/01/21
- メディア: 新書
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読書の意義を深く考えさせてくれる本です。読書をすることによって,自分の眼の構造を変え,世の中の見方を変える。世の中を理解するための手段(概念装置)を獲得する。単純に情報を得るためだけに読書をするのか,それとも,新しい視点・別の視点を得るために読書をするのか,を意識しておくことが大切です。
メモ
I 「読むこと」と「聴くこと」
p.3
本をではなくて,本で「モノ」を読む。これが肝心で,つまり,真の狙いは本ではなくてモノです。
p.39
一読明快に目に映るかぎりで読みとばして何等の疑問も生じない無神経な人も多いですけれども,それでは本を読んだことにはなりませんね。
p.74
本当の批判力とは,俗眼に見えない宝を――未だ宝と見られていない宝を,宝として――発見する能力です。
II 自由への断章
p.99
学問を「学問として」うけとっちゃ駄目だ。ずぶの素人になり切ること。学問によりかからず,自由を希求する一個の自由な人間として,自分の眼をぎりぎり使い,自分の経験を総動員しながら学問にきく。そういう体あたりの努力によって,学問は初めて有効に身についてくるものです。
III 想像現場の社会科学
p.136
見得たこと,知ることによって,同時にいかに自分が知らなかったかをも知るということを強調しておきましょう。
p.157
本を読むことは大事ですが,自分を捨ててよりかかるべき結論を求めて本を読んじゃいけない。本を読むことで,認識の手段としての概念装置を獲得する。これがかなめです。
p.158
いま習いつつあるこの概念装置,あるいは専門語の意味はどこにあるのか。専門語,あるいは概念装置を使うことによって,いままで見えなかったものが果たしてどのように見えるようになったかどうか。