パターン,Wiki,XP 〜時を超えた創造の原則
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パターン、Wiki、XP ~時を超えた創造の原則 (WEB+DB PRESS plusシリーズ)
- 作者: 江渡浩一郎
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2009/07/10
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ソフトウェア設計の定石集であるデザインパターン,アジャイルな開発手法であるエクストリームプログラミング(XP),知のコラボレーションシステムであるWiki。これらの起源がどこにあるのか?,を建築家クリストファー・アレグザンダーまで遡って歴史を振り返っています。
ソフトウェア開発におけるパターンは,アレグザンダーが考え出した建築手法の一つである「パターンランゲージ」を起源としています。また,Wikiもパターンを記述して共有するためにつくられました。建築からソフトウェア開発,そしてWiki。この流れを「パターン」を軸に説明しています。
その中で,
p.143
アレグザンダーが建築の世界で無名の質を備えた建築を追い求めたように,ベックは無名の質を備えたソフトウェアを目標とし,カニンガムは無名の質を備えたWebサイトを目標とした
p.146
無名の質を備えたコミュニティとは,生き生きとした持続性のある発展可能なコミュニティでもあるのです。
とあるように「無名の質」という概念がキーになっています。
p.184
無名の質とは,古い都市の調和した街並みが備えている生き生きとした建物や街が持つ特性です。この思想に強く共鳴したソフトウェアの世界の人々もまた,「無名の質」という「言葉にできない何か」を実現することに惹きつけられていたのかもしれません。
この「無名の質」という概念。まだ,私はきっちりとは理解できていませんが,計算機が作り出す世界を考えていく上で非常に重要な概念だと感じました。