フリー(クリス・アンダーソン)

フリー 〈無料〉からお金を生みだす新戦略

フリー 〈無料〉からお金を生みだす新戦略

ロングテール」という言葉で一躍有名になった,ワイヤードの編集長クルス・アンダーソンの著書です。フリーにはどういうもの(直接的内部相互扶助,三者間市場,フリーミアム,非貨幣市場)があって,それぞれがどういうものかについて多くの事例があげられています。

巻末付録の無料のルールがすべてな感じなので,そこだけ読めば良い気もしますが,「無料のルール」をきちんと理解するには,やはり本文全文を読む必要があると思います。

世の中がフリーに向かっている(なっている)のは,紛れもない事実です。フリーをうまく理解&コントロールし,どこに価値を見出すかをしっかりと考えてビジネスをしていく必要があります。また,「潤沢さ」と「希少さ」に対する感度をもっておくことが重要だと思いました。

メモ

第3章 フリーの歴史

今日,希少なのは,元米国労働長官のロバート・ライシュが「シンボリック・アナリスト」と呼ぶ,知識と技能と抽象的思考をあわせ持つ有能な知識労働者だ。むずかしいのは,人間とコンピュータの仕事の最適な配分を考えることで,その線引きは常に動いてる。
p.74

第5章 安すぎて気にならない

技術者の仕事はどんなテクノロジーがためになるかを決めることではない,とケイにはわかっていた。テクノロジーを安く,使いやすくし,誰もが使えるようにユビキタスなものにして世界中に普及させ,あらゆる場所に届けることだ。それをどう使うかはユーザが決めればいい。
p.117

第15章 潤沢さを想像する

ドクトロウの描く世界で希少なのは「ウッフィー」と呼ばれる<評判>だ。それはデジタル通貨で,良いおこないをした人に与えられ,悪いおこないをした人は没収される。
p.281

第16章 「お金を払わなければ価値のあるものは手に入らない」

フリーと競争するには,潤沢なものを素通りしてその近くで希少なものを見つけることだ。
p.308

フリーは魔法の弾丸ではない。無料で差し出すだけでは金持ちにはなれない。フリーによって得た評判や注目を,どのように金銭に変えるかを創造的に考えなければならない。
p.310